その1.視聴率の快挙

97年に放送された『星に願いを』以来のムーヴメントを巻き起こしたと言われている韓国版『花より男子』。2008年12月22日にソウル・ロッテホテル内で行われた制作発表会では、日中を初めとした海外メディアを含め約200の媒体が集まり、その関心の高さが早くもうかがわれていたが、2009年1月5日の第1話放送後の快進撃は予想以上のものだった。まずは視聴率だ。第1話は14.3%(TNSメディアコリア調べ。以下同)を記録、話題作とはいえほとんど無名の新人を主演に起用した今作が獲得した視聴率としてはかなり高い数字と言える。しかも、翌日に放送された第2話では17.6%と一気に3.3%のアップ。同週末に流された再放送では、第1話が10.1%、第2話が15.1%を記録。再放送で2桁という異例の視聴率で、関係者を驚かせた。さらに、地上波放送中としてはほとんど例を見ない、ケーブル局「tvN」での再放送も話題となった。ちなみに、tvNでの視聴率は2.0〜3.4%で、地上波の視聴率に換算すると20〜30%の高視聴率だった。そして、本放送も第3話にして20%超え、その後も着実に視聴率を伸ばし、第7話にして同時間枠トップの座を獲得。第10話で30%超えを果たし、最終的には35.5%という最高視聴率を記録、第25話の最終回まで同時間枠の視聴率首位の座を維持し続けた。

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2008年12月22日の制作発表会

この人気を裏付けるように、『花男』の放送が始まって以来、放送日の月曜が待ちきれない視聴者が続出、休み明けの憂鬱に悩まされる“月曜病”が消えたとまで言われた。

その2.広告業界をも席巻するF4

イ・ミンホ写真

さらに、初回放送以降、ネイバー、Yahoo!コリア、ダウムなど韓国の大手検索ポータルサイトでは、道明寺司(=ク・ジュンピョ)役のイ・ミンホが、検索ランキング1位を記録。ミンホ個人のミニホームページへのアクセスは、1日に50万件を超える人気となった。放送開始以降のイ・ミンホ人気は止まるところを知らず、半分も放送されないうちに、人気スターの証明とされる携帯電話(AnyCall)をはじめ7本のCM契約が舞い込んだ。その後も契約数は延び続け、早くも09年最高のCM賞(男性部門)を受賞した。また、独特のパーマヘアは、コルネパンに似ていることから「コルネ・ヘア」と呼ばれ、ヘアスタイルの新しい流行を作った。


もちろん、イ・ミンホだけではなく、キム・ヒョンジュン、キム・ボム、キム・ジュンのF4それぞれが各種業界からCMオファーが殺到。男性4人が集まれば「F4」のマネになるほど、パロディが大ブームになり、インターネット上では往年の名優4人を合成した「花よりじいさん」が登場、バラエティ番組ではお笑い芸人がこぞって『花男』パロディ、「F4」パロディを演じ、ブームに拍車をかけることとなった。

そして、物語も中盤を超えた2月27日に行われた第45回百想(ペクサン)芸術大賞では、イ・ミンホがTVドラマ部門新人賞を、キム・ヒョンジュンが同人気賞を受賞。F4全員がレッドカーペットを踏み、ファンからの歓声を受けた。が、ここでイ・ミンホは人生初のレッドカーペットで転倒し、「ドタバタ・ミンホ」という愛称を得ることに。この映像は芸能情報番組をはじめとしたTV番組で繰り返し流され、YouTubeでも驚異のアクセス数を記録。照れ笑いする姿が逆に可愛いと人気を増大させた。

その3.ファッションからサントラまで、流行が誕生

彼らが劇中で着ているファッションは、“プレッピールック”と呼ばれ、若い世代の間で大流行に。米国有名大(アイビーリーグ)を目指す名門私立高(プレパラトリースクール)に通う良家の子息に対する俗称「プレッピー」に由来した、このカジュアル・トラッド男性ファッションは、ショッピングファッションブランド「PARIS STORY HOMME」(俳優のイ・ジフンが運営)で販売数50%アップという人気を得た。特に、エンブレム付きジャケットは1日平均500着以上の売れ行きで、キム・ボムが左耳に装用した黒ピアスも話題となった。

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また、オリジナルサウンドトラック(OST)の参加アーティストもF4のキャスティング同様、放送前から熱い関心を集めており、オンライン掲示板では仮想投票まで行われていた。結果、オンラインサイト「KTFトシラク」では放送が始まった翌週の1月12〜18日集計の週間ランキングで、OST収録中3曲が10位内にランクイン。花沢類(=ユン・ジフ)のテーマ曲で、SS501-Special Unit-が歌う「僕の頭が悪いから」が3位、キム・ジュンが所属するT-MAXによるオープニング曲「Paradise」が4位、Somedayが歌う挿入歌「知っていますか」が7位を記録した。さらにCDが売れない昨今、10万枚以上のセールスを記録、アルバム市場にも旋風を巻き起こした。

ソ・イジョン×チュ・カウルの写真

他にも、劇中で司(ジュンピョ)がつくし(ジャンディ)に贈った「星と月のネックレス」をはじめとしたキーアイテムが大ヒット。また、ロケ地も話題を集め、多いときには1000人を超えるファンが押しかけ、撮影に支障が出たほど。また、ラブラインでは、原作(西門総二郎×松岡優紀)では悲しい恋に終わったソ・イジョン×チュ・カウルのカップルの行方に高い関心が集まった。2人は頭文字を取って“ソ・ウル”カップルと呼ばれるほど人気のエンピードになった。


このように、数多くの話題と流行を生み出した韓国版『花より男子』。ファンタジーロマンスを愛する女性達のみならず、男性達の関心も引きつけ、不況下に経済効果を上げたという意味でも、韓国ドラマ史に刻まれる快作となったことは間違いない。

サントライメージ

『花より男子〜Boys Over Flowers』オリジナルサウンドトラック(日本版)も発売中

価格: 2,800円(税込)
収録曲: 全13曲 ※歌詞、対訳付き
封入特典:F4の写真入りポストカード
販売元: GLORY ENTERTAINMENT Inc.